マイナンバー


2015年も最後の月となりました。
今年を振り返ってみると10月5日から『マイナンバー制度』がスタート(運用開始は来年1月1日)し、12月1日からは50人以上の事業所を対象としながらも『ストレスチェックの義務化』が始まりました。

この二つの事柄と企業経営の関わりを考えるとき、多くの中小企業経営者は「面倒な仕事が増えただけだ」と直感的な感想を述べられます。
しかし、この二つの新たな動きには、これからの日本人の志向すべきものが見えているような気がします。

『マイナンバー制度』は、少子高齢化社会の日本をどう維持していけばよいのかという問題への有効な対策のひとつになるものと確信しています。
ただし、制度自体はまだまだ不完全なものですから、これからの運用によって成否が分かれる恐れはありますが、行政手続きの簡便化と適正化のためには、重要な役割を果たすだろうと思います。

また『ストレスチェックの義務化』は、今後、日本で暮らしていくために労使が大切にしなければならないことは何かということ明らかにしました。
ストレスチェックという一次予防を義務化するということは、これまで明確ではなかった『労働者の健康を守るための労働条件を企業に確保させる義務』の存在を明確に示したものだと思います。

「面倒な仕事が増えた」と感じるだけでなく、なぜ始まったのかを一度考えてみていただきたいと思います。


『平成27年10月5日以降、通知カードが届きます・・・』と告げられていましたが、予想通りマイナンバーを記載した通知カードは、なかなか届かないようです。
私の事務所のある下呂市では11月20日頃の発送だそうですが、最近の政府系の広報には『11月末まで・・・遅くとも年内には到着します』というくだりもあるようです。

さて、通知カードが住民票を有するすべての国民に送付される・・・という話を聞いたとき、皆さんはどんな印象をお持ちになりましたか。
私は「そんな大きな計画が、この程度の周知だけで取り掛かって大丈夫なんだろうか」と正直不安を覚えました。

既にお伝えしてきましたが、マイナンバー制度は未来の日本の行政の仕組みを効率的に変革するために必要なツールのひとつです。
しかし、過去にも行政の変革に取り組みながら、国民の「不満」の声によって葬られた制度(例えばグリーンカード)は、いくつかありました。
今回も同じように立ち消えてしまうのでしょうか。

今を生きる私たち世代は、未来を担う若者や私たちの子や孫たち世代のために、マイナンバー制度を正しく動かす責任があると私は思います。
そのためには「不安」に思う気持ちから「不満」という気持ちにならないようにしなければなりません。

今一度皆さんに呼びかけて勉強しようと思っていますが、いかがでしょうか。


マイナンバー制度全体を眺めたとき、最も重要な手続きのひとつがマイナンバー収集時の「本人確認」です。
私のマイナンバーが示す人間が私であってこそマイナンバー制度は有効に機能します。全国民一人ひとりに付与される番号ですから、確認手続きが一人ひとり正しく行わなければ制度を運用する意味が薄れてしまいます。

会社の場合、勤務している従業員の皆さんからマイナンバーを収集する作業の時点で、本人確認の手続きは一人ひとりについて、法律に定められたやり方で行う事が決められていますから、結果は同じてあっても会社独自のやり方は法律違反の恐れがあります。

また、マイナンバーを利用目的以外で収集し、あるいは保管することも違法となります。
事業所が複数ある企業では、マイナンバーを保管する部署と各事業所が離れていることがあります。
誰がどのような方法でマイナンバーを確認し、どのような方法で保管部署が保管するのかという手順は、社内で決めてマニュアルなどの文書の形にしておくことが必要です。
決められた担当者以外の者が取り扱い、あるいは決められた部署以外でコピーを取って保管することは社内の手順違反だけでなく法律にも抵触します。

会社で決めた手順に従って収集したマイナンバーは、正しく保管し、記載時の誤記に注意すれば何も問題は発生しないと思います。


「通知カード」の郵送開始1か月前となりました。10月以降、従業員のご自宅宛てに世帯ごとにまとめられた通知カードが郵便で届くことになっています。

通知カードが到着したら、会社はすぐにマイナンバーを集めなければいけない・・・

そう思われがちですが、実際の運用は早くても来年1月以降です。

中小中堅企業のマイナンバーの収集は、ゆっくりでも何ら支障ないと思います。
私個人の意見として言わせていただくならば、むしろマイナンバーの収集作業は来年以降で十分。
今月は8月号のこのページでもお伝えしましたが、従業員の皆さんに対しては、『通知カードは大事なもの』という周知で十分です。

もうひとつ大事な作業は、マイナンバーの取扱いの手順を、今月から取り掛かって年内を目途に決めてしまうこと。
マイナンバーの取扱い担当者や責任者、担当者の役割、権限、責任の範囲など必要なことを決め、そして、それを社内規程にまとめると良いと思います。

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)の調査結果を見ると、情報漏えいの8割以上が会社内の安全管理措置が整備されていれば防げたと思われます。
マイナンバー対応システムや専用機器の販売を目的とした広告が目につきますが、それよりも重要なことは、情報に対する社員認識と会社の組織が情報漏えい防止にきちんと対応できることだと思います。


今回はマイナンバー制度について一番大事なことをお伝えします。

それは、今回のテーマである

今何をやらなきゃいけないのか

です。

「え?今更そんな話?」
と思われたかと思いますが、実はこれが一番大事な事ではないかと私は思っています。

『この8月時点で何をしておくべきか。』

あなたの会社では具体的にどんな事を行っていますか?
何をするべきだと思いますか?

是非、お聴きになって参考になさってください。
そして、実際の運用までにしっかりと準備をしてください。
正しく安全に運用する為にも、今からでも取りかかっていただきたいと思います。


今回はマイナンバー制度の罰則についてというテーマでお話しをしていきます。

個人情報保護法の特別法として制定された法律であるこのマイナンバー法。
またの名を番号法といいますが、例え1名分のデータであってもその取り扱いについて厳正な取り扱いが求められます。
それに伴い、罰則も厳しくなっています。

しかし、ただ闇雲に「罰則が厳しい」と過敏に反応する必要はありません。
一般的に通常の注意でもってルールを守っていただければ、余分な費用をかけるなどの対応は必要無いと思います。

このように厳しいと言われる罰則はどういったものなのか。
また、どんな事に注意すれば良いのかなどをお伝えしていきます。


今月はマイナンバー制度について是非知っていただきたい事を絞ってお伝えしていますが、今回のテーマは情報流出のリスクについてです。

度々ニュースなどでも耳にする「個人情報漏えい」ですが、
つい先頃年金機構で、個人情報が大量に流出したということで大問題になりました。

あの年金機構で個人情報流出が起きたということで、
各種メディアなどでも「マイナンバーは大丈夫なのか?」という報道などがあり、大変心配される声もあります。

マイナンバーはどうなのでしょうか?

前回番組でお伝えしたように、マイナンバー制度には大きなメリットがあります。
そして、このようなリスクを極力減らす為の様々な方策が組み込まれている制度でもあるんです。

今回はその中から主にデータ管理についてお話ししていきたいと思います。


今年の10月から皆さんにはマイナンバーが届きます。
正確にお伝えするならば、『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律』に基づく個人番号(マイナンバー)が、通知カードという紙のカードに記載されて、お住まいの市区町村から簡易書留を使ってお一人お一人に郵送されることになっています。

でも、多くの皆さんは、マイナンバー制が始まることについて、どこか他人事のようにとらえていて、ちょっと真剣味が足りないのではないか? と思っています。

「マイナンバー制なんてものは、実施直前に延期、そしてそのうちに中止になるよ」と、仰る方は珍しくないのですが、マイナンバー制を導入しようというそもそもの話を少しかじってみると、社会保障給付費を一番多く負担している私たち世代は、もっと真剣に考えなければならないテーマだとわかります。

ここ50年で社会保障給付費(健康保険、年金など)は40倍に膨らんでいます。
このままでは医療費削減や年金削減に厳しく取り組まなければならなくなります。
マイナンバー制の導入、定着、効果的な運用によって、私たちや私たちの子や孫
世代の将来の負担を減らそうという話ですから、決して他人の話ではありません。
マイナンバー制は『行政を効率化』し『国民の利便性』を高め、『公平・公正な
社会』を実現する社会基盤だと国は説明しています。

私たち働く世代や子や孫の世代の負担が増えないように、この政策には積極的に
関わる必要があると私は思います。