事務所通信


2015年12月16日に米国のFRB(連邦準備制度理事会)が9年半ぶりの利上げを決定したのはご存知でしたか。
このニュースの後、今後の日本経済ついて二人の専門家がほぼ正反対の予測を述べていました。

言うまでもなく「経済」は私の専門外、どちらの予測にも『なるほどね』と納得するだけでした。

さて、そんな専門家でさえ正反対の予測をする今年の日本で、私が専門とする中小企業の労務管理にはどんな変化が出てくるでしょうか。
私は意外なほど大きな変化と、小幅ながら未来に大きく関係する変化の二つが出てくる年になると思います。

大きな変化とは大手企業の好調な業績がドミノ理論的に波及して、次第に中堅中小企業の業績がかなり良くなるのではないかということ。
大手企業から中小企業へ、あるいは都市部から地方への波及には当然タイムラグがあり、今年は好転の一年になると見ています。

もう一つの小幅な変化とは、労働時間数の意識的な削減に労使ともに取り組み始めるのではないかということ。
これには数多くの要素が複雑に関係しますから、顕著な変化というより転換点となるような気がします。

なお、これらはあくまでも私の趣味的な予測です。
間違ってもガチに信用しないでくださいね。

でももし予測が的中したら嬉しいので、おいしいものでもご馳走します。


2015年も最後の月となりました。
今年を振り返ってみると10月5日から『マイナンバー制度』がスタート(運用開始は来年1月1日)し、12月1日からは50人以上の事業所を対象としながらも『ストレスチェックの義務化』が始まりました。

この二つの事柄と企業経営の関わりを考えるとき、多くの中小企業経営者は「面倒な仕事が増えただけだ」と直感的な感想を述べられます。
しかし、この二つの新たな動きには、これからの日本人の志向すべきものが見えているような気がします。

『マイナンバー制度』は、少子高齢化社会の日本をどう維持していけばよいのかという問題への有効な対策のひとつになるものと確信しています。
ただし、制度自体はまだまだ不完全なものですから、これからの運用によって成否が分かれる恐れはありますが、行政手続きの簡便化と適正化のためには、重要な役割を果たすだろうと思います。

また『ストレスチェックの義務化』は、今後、日本で暮らしていくために労使が大切にしなければならないことは何かということ明らかにしました。
ストレスチェックという一次予防を義務化するということは、これまで明確ではなかった『労働者の健康を守るための労働条件を企業に確保させる義務』の存在を明確に示したものだと思います。

「面倒な仕事が増えた」と感じるだけでなく、なぜ始まったのかを一度考えてみていただきたいと思います。


『平成27年10月5日以降、通知カードが届きます・・・』と告げられていましたが、予想通りマイナンバーを記載した通知カードは、なかなか届かないようです。
私の事務所のある下呂市では11月20日頃の発送だそうですが、最近の政府系の広報には『11月末まで・・・遅くとも年内には到着します』というくだりもあるようです。

さて、通知カードが住民票を有するすべての国民に送付される・・・という話を聞いたとき、皆さんはどんな印象をお持ちになりましたか。
私は「そんな大きな計画が、この程度の周知だけで取り掛かって大丈夫なんだろうか」と正直不安を覚えました。

既にお伝えしてきましたが、マイナンバー制度は未来の日本の行政の仕組みを効率的に変革するために必要なツールのひとつです。
しかし、過去にも行政の変革に取り組みながら、国民の「不満」の声によって葬られた制度(例えばグリーンカード)は、いくつかありました。
今回も同じように立ち消えてしまうのでしょうか。

今を生きる私たち世代は、未来を担う若者や私たちの子や孫たち世代のために、マイナンバー制度を正しく動かす責任があると私は思います。
そのためには「不安」に思う気持ちから「不満」という気持ちにならないようにしなければなりません。

今一度皆さんに呼びかけて勉強しようと思っていますが、いかがでしょうか。