忖度


芸能を生業とする大きな事務所の所業が話題になっています。
その中で私が気になっているのは、大阪のお笑い系ではなく、多くの若手タレントを抱える事務所を『公正取引委員会』が【注意】したという話。
毎日新聞のWeb版はこんな書き方をしていました。

民放テレビ局幹部は、今年初めごろに公取委から調査を受けたことを認める一方、「ジャニーズ事務所から明確な圧力を受けたとは聞いていない。
ただ制作側が過剰にそんたくする構図はあったかもしれない」と話した。

私の知る限り、日本の主要な民間放送会社は、ほとんどが大手新聞社の系列です。
新聞社と言えば【ペンは剣よりも強し】が看板のはず、なのにその系列会社である放送会社が、一民間企業の偏った意向に隷属していたのではないかと『公正取引委員会』に【注意】されたのですから、親である新聞社は何等かの対処、もしくは申し開きすべきではないでしょうか。
無論、関係する会社の方々はみんな立派な大人だから、後から指摘され、あるいは責任を問われるような「証拠」や「記録」を残してはいないと思います。
しかし、何もないのに『公正取引委員会』が、わざわざ【注意】することありえません。

忖度(そんたく)という言葉は2年前の2017年に森友・加計問題についての新聞やテレビの報道で多用されたことで流行語となり国民に広く知れ渡りました。
今回、芸能事務所への対応の過程に放送局側の過剰な忖度があったのかなかったのか、新聞社には調べて報告する責任があるのではないでしょうか。


テレビのクイズ番組で、ひらがなから正しい漢字を答え、あるいは難読漢字の読み方を答える番組があり、視聴中に正解を見つけると心でガッツポーズ。
そして、『ある程度、漢字を知る部類の人間ではないか』とニソニソ自己満足。
幼い頃から本を読むことが唯一の暇つぶし(※敢えて「趣味」とは言わない)だった結果でしょうか。

しかし、最近、漢字を本当の役割を知る人が世の中には多くいることを痛感したのが『忖度(ソンタク)』の件です。

ネットによると【日本語学者の飯間浩明さんが「これは伝統的なことばです。中国古代の『詩経』にも出てくるので、『昔から使われていることば』と表現するのが最も妥当です。日本にも10世紀から例がありますが、それ以前に中国から入って来たものでしょう」従来は「母の心を忖度する」「彼の行動の意図を忖度してみた」などと、「単純に相手の心を推測する」場合にも普通に使われていた。】とあります。

話題のK理事長さんは「土地取引のスピードが上がったのは「忖度」があったからだ」と発言し、M知事も、「良い忖度と悪い忖度がある」と発言しています。
私には馴染みがなかった「忖度」という言葉ですが、その言葉の意味合いを知り有効に使う人がいることを知りました。

この一件で「忖度」は、多くの人に周知され、組織に属する者としては「常識」のファイルに入れておかなければならない言葉になったと思います。

さて、国の提唱する「働き方改革」への取り組みと電通事件の影響もあり、企業は人事労務に対する意識を変えざるを得ない状況となっています。
結果として社労士業界は受注増加となっており、現在の多忙な状況は、今後ますます拍車がかかると予想しています。

ところで単に仕事量が多いためので「繁雑(ハンザツ)」となるのか、時代が求める人事労務のやり方を分かり易く伝えることが難しいので「煩雑(ハンザツ)」なのか、正しい漢字はどっちなの?

漢字は本当に難しいです。