人件費


かつての政府管掌健康保険や厚生年金などの社会保険の業務は、社会保険庁に代って今は日本年金機構および協会健保が引き受けています。従来の役所に代り民間の事業体が業務を運営しているのですが、これまで役所の行っていた業務を請け負っているために、手続き手順などは、想像以上の厳格さが求められているようで、このことについて異論はありません。

しかし、最近、『問題だなぁ』と思うのは健康保険証の交付に要する時間が非常に長くなっていることです。具体的には健康保険証到着まで最低でも2週間程度、以前は1週間程度でしたから約2倍の時間が掛かっています。その原因を尋ねるとコスト削減(主に人件費の削減のようです)のために様々な場面で業務委託(外注)を多用しているためとの回答がありました。

一連の処理の流れやその全容を知らぬままに意見を述べるのは僭越かもしれませんが、社会保険制度において【被保険者の利便】は何より優先されるべき事項のひとつではないでしょうか。保険証の到着に時間が掛かるという大問題について改善を求めても、何ともならないとか問題と思わないような回答しか返ってこない姿勢に問題があるように思うのは私だけでしょうか。民間移行したメリットはここには全く見られないように思います。


本年から12月1日が採用活動の解禁日となりました。

これは【採用選考に関する企業の倫理憲章】(社)日本経済団体連合会2011 年3月15 日改定により、採用選考活動早期開始の自粛のひとつとして、「平成25年3月卒業予定の大学生らの採用活動について、インターネット等を通じた不特定多数向けの情報発信以外の広報活動については、平成23年の12 月1日以降に開始すること」になったからです。ちなみに「面接等実質的な選考活動については、平成24年の4月1日以降の開始」となっています。

当事務所でお引き受けしている採用活動のサポートでは、地元高校卒業予定者の採用活動が中心になっていますが、この地域からも自宅を離れて大学や専門学校に進学している人がたくさんいますから、検討することは意味のあることだと思います。ただし、大学生や専門学校生の就職先として手を挙げるとなると、競合先は全国区となりますから、初任給をはじめとする労働諸条件が全国平均レベルにないと苦戦しそうです。

岐阜県、さらには飛騨という地の不利(?)を思えば、大学生の採用に乗り出しても初年度はほぼ空振り、2年目で一人二人の面接ができれば上々ですが、採用に至るのは難しい。

3年目で一人採用できたら大成功という感じではないでしょうか。もちろん採用に至るまでには、かなりの費用(100万円単位です)は掛かります。それでもやってみよう…って思われた方は、矢島までご連絡ください。事務所の総力を挙げて頑張ってみます…(^_^;)


(今回も、引き続き採用面接に関して取り上げます)

先月は面接の結果、どんな人を選ぶかについて、私の思う大事なポイントとして『違和感のないこと』『天使のささやき』などをお伝えしました。

事務所通信の読者の方からの反応は、いまひとつだったのですが、懲りずに今回もそういった話。

採用面接で案外効果的なのは、複数の応募者の面接を同日に行うこと。

応募者がAさんとBさんの2名で、同じ日に二人を面接できたならば、『誠実さならBさんよりもAさんだなぁ』『Bさんのほうが真面目そうだ』と簡単に比較することができます。これが、別々の日、しかも1週間以上空いてしまうと『どっちを選ぼうかなぁ?』と迷う部分が多くなります。

尤も現実は「人手が足りなくて募集しているのに応募してくる人が少ない」という理由で、仕方なく次々と面接を繰り返されていると思います。

しかし、先回お伝えしたように採用の要諦、『使える人を雇う』『使えない人を雇わない』を貫くためには、一人だけを面接して合否を決めるというやり方は、大変危険ですよね。具体的には『履歴書は郵送して下さい、面接日は追って連絡します』という募集スタイルを明示することから始まります。しかも、こうすることで案外応募者が増えて実効が上がるものです。

『そうなんだ、考えてみようかなぁ』って思われた方は、矢島までご連絡ください。…(^_^)


(今回も、引き続き採用時の面接に関して取り上げます)

先月は「効果の上がる面接」方法のひとつをご紹介しました。このほかにもいろいろな「手」はありますので、貴社オリジナルの「手」を検討してみるとよいと思います。

さて、今回は面接の結果、どんな人を選ぶかについて、私の思う大事なポイントをご紹介します。

採用の可否を決める時点で私が一番大切にしているのは、『違和感のないこと』です。

面談時の立ち居振る舞い、質問に対する反応や返答など、面談を総合して『?』と感じるところがある場合は、「原則お断り」と決めています。これを『天使のささやき』と名付けています。声は聞こえなくても『?』と感じたことが、天使が耳元でささやいたような気がするからです。

「何の根拠もなく、『?』で簡単に合否の判定をするのか」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、どんなときであっても採用活動の要諦は、『使える人を雇う』ことです。裏を返せば『使えない人を雇わないこと』が大事なのです。

急な退職者の発生で、急ぎ欠員補充のための採用をするときなどは特に要注意。

とりあえず一人を補充しなきゃならんからと『まぁこんな人でも、とりあえず補充しておこうか』と雇ってしまってトラブルになることは、珍しいことではありません。

もっとも、そうしたトラブルが私ども社会保険労務士の仕事のタネになりますから、営業戦略上は『まぁこんな人でも、とりあえず補充しておこうか』式の安直な採用はアリガタイと言えばアリガタイのですが…(^_^;)


(前回からの続きで、採用についてもう少し踏み込んでみます)

『忙しくて人手が足りない』とか、『やめてしまった人の補充』など理由はともかく従業員を採用することになったとき、どのような選考方法をお考えですか?

中小企業の9割以上では『面接』が選考方法の唯一のメニューになっています。

では、面接ではどんなことをして(方法)で、何を見る(評価する)のか、決めていますか?

何人かの経営者にお伺いすると、雑談などを通じてその人の人となりを見るとお答えになりますが、人を雇うときに本当にそれで十分でしょうか?

「でも、雇ってみてしばらく働いてもらわないと、本当のところはわからないからね…」

確かにそういう意見も間違いだとは申しませんが、一旦雇えば給料を支払う義務が発生するのですから、間違いなく働いてくれる人かどうか、面接でもっともっと厳しく選考しなければいけないのではないでしょうか。

もし面接の方法や評価するポイントを決めていないのなら、それは『面接』ではなく、単なる『面談』ではないでしょうか。

前回もお伝えしましたが、採用活動を真剣に実行している企業の多くは、採算性の厳しい時代でも元気に活動しているように感じます。

『今は採用することはないから』と言われるお客様も、今一度、採用と採用選考の重要性をお考えいただきたいと思います。