リクルートキャリア(以下、リクナビと略す)が就活生の内定辞退率を大手企業に販売した問題の発生原因の一つに、企業側の内定辞退に対する危機感が非常に大きいことがある。
企業規模の大小を問わず「優秀な学生の確保が採用担当者の使命」であると信じているからこその話だが、うがった見方をすれば優秀な人材が優秀な幹部社員に成長するとは限らないのだから、日本を代表する超大手企業がそこまでして採用に心血を注ぐのは、何故なのかと疑問を感じる。
自社に魅力が足りないと思っているのか、就活生に対して十分なアピールができていないと感じているのか、はたまた採用担当者の能力が乏しいのか、この事件からはそんなことを思わざるを得ない。

また、販売側のリクナビも企業倫理に悖る恐れのある裏技を使ってまでも、営業担当者の売上目標は達成しなければならないものなのか。
力が足りず同業他社に顧客を奪われる危機感を抱いていたのだろうか、そんなことを感じている。

今回の『リクナビ内定辞退率問題』は、急な登場で少々荒っぽいスタートをしたたことによる所謂「齟齬」であって、その実態は新たな採用方法のひとつなのだと思う。
応募者に対して様々な側面から観察し面談を重ね、採用担当者の力量で採否を決定してきた従来からの方法に新しいツール【AI】を組み込んでさらに確度を高めようとする試みは時代の流れで止められないと思う。
しかし、それを加えても採用のマンパワーを減らし、あるいは採用担当者の能力に左右されない完璧な採用は出来ないだろうと思っている。