客観的合理性


「試用期間はお試し期間だから、解雇しても問題ないですよね?」というご質問をよくいただきます。
また、試用期間に限らず「お給料の30日分払えば解雇しても問題ないんですよね?」というご質問もあります。
一見問題ないように思いますが、この認識は、後々大きなトラブルに発展する可能性を孕んでいます。
今回は「試用期間中の解雇」を取り上げます。

試用期間とは・・・

多くの事業所で、入社した従業員の適正などを判断するために「試用期間」の仕組みを取り入れています。
試用期間の長さについて、基準を定めた規定はありませんが、あまり長い期間を定めると、民法の公序良俗違反として認められない場合があります。

通常は2~3カ月、長くても6カ月以内で定めるのが良いでしょう。

今日からよろしくお願いします!

新入社員
社長

試用期間6カ月ね。がんばってね。

4か月後

新入社員を入れてみたものの、なんかあんまり合わないなぁ。
試用期間ということは、お試し期間なんだから、本採用しなくても、問題ないでしょう。

試用期間の後、本採用にしない、といっても、既に雇っている以上、それは「採用」の問題ではなく、解雇の問題になります!

じゃぁ、労働基準法の解雇予告手当30日分を払えばいいでしょ?

出番じゃ! 説明しよう

解雇1つとっても色々な法律が絡むんじゃ

「解雇」となると、労働契約法によって「客観的合理性」と「社会的相当性」の2つがなければ法的に無効になります。
過去の判例において、試用期間中の解雇が認められた事由としては以下があります。

  • 勤務態度が極めて悪い場合
  • 正当な理由なく遅刻・欠勤を繰り返す場合
  • 本人の履歴に重大な虚偽の事実があった場合

労働基準法で問題がなくても、他の法律によって解雇が無効になる可能性は十分にあります。
後々大きなトラブルに発展しますので慎重な判断が必要です。


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