労働保険


私たち社会保険労務士の仕事には、社会保険や労働保険の諸手続き、雇用関係の文書類の作成、雇用に関わるご相談への「助言」などがあります。
このうち、諸手続きは、法律等の改正事項を踏まえなければなりませんし、文書類の作成も法的な必要性を担保するものでなければなりません。
また、個別の相談事案についても慎重に検討して、最善と思う「助言」をさせて戴いてきました。

さて、諸手続きや文書類の作成における「助言」の場合、根拠となる法律の条文や通達、手続きに関する参考資料など『モノサシ』がありますから、これらをベースにしています。

これに対し、『モノサシ』のない相談事案、例えば採用時の基準の設定や個々の応募者の評価方法。
雇用に関して発生した事象が労務トラブルにつながる可能性に関わる所見。
また、対応策が複数想定される事案の場合には、優先順位に関する所見など『モノサシ』の無い事案では『モノサシに代わる私の見方』によって「助言」をさせて戴いています。

ところで『モノサシに代わる私の見方』とは、どういうものなのか。
それは私に限らず多くの方々が『過去からの経験』をその見方の軸にされていると思います。
私の場合、労務管理の業務歴30年という『経験』はモノサシのない事案に対して、ある程度有効であると思ってきました。

さて、日経新聞29年5月31日号「私の履歴書」の中でオリエンタルランド会長兼CEOの加賀見俊夫氏は「過去の経験に基づく価値観から未来を見つめる価値観へ意識を変えないと成長はできない」とお書きになっています。
私たち社会保険労務士は、会社とそこで働く人がともに成長するための支援が出来るスペシャリストとして、過去の経験による価値観に縛られることなく「未来を見つめる価値観」を重視して、たとえ今起きている事案であっても「5年後、10年後を見据えた助言」を心掛けなければならないと思いました。