おおよそ30年間、中小企業の採用の業務や採用に関係することを生業としてきた者として、昔も今も思うことが二つあります。

一つは「公正な採用を意識して採用活動を実施することは、結果に現れる」ということ。

もう一つは「中小企業ほど人手不足の把握が曖昧」ということです。

「公正な採用」については厚労省が毎年度詳しいリーフレットが出しますから説明は省きますが、公正な採用を励行することは、【応募者に広く門戸を開く】ことと、その応募者の【適正と能力】を真剣に選考するということです。
有能な応募者に応募の機会を広く提供し、適正と能力を判断の基準として採用する企業であれば、将来に向かって成長すること間違いがないと思うのです。

しかし、現実は違います。
意味もなく応募者を限定し、あるいは選考時に関係のない事柄について質問し、あるいは応募者本人の知らないところで聞き取り調査することは珍しくないのです。

また、人手不足の把握については、大変失礼な言葉で申し訳ないのですが、『足りない気がする』というような「経営者の勘」に基づいて決定されていることが多いように思います。
もちろん「中期経営計画に基づき毎年の採用活動を計画している」企業もありますから、すべての募集採用活動を批判するつもりはありませんが、人手不足というお話を聞いて「社長、何人足りないのですか?」とお尋ねし、その不足人員算出の根拠についてさらに質問すると明確なものを答えていただけない場合がほとんどなのです。

経営資源には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つがあると言われ、その筆頭に「ヒト」が挙げられていますから、間違いなく一番大事な資源です。
それだけに新たな人材を確保する採用活動には、もっと真剣に取り組むべきだと思います。