先日、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。
この中では、長時間労働規制などの内容が含まれていますが、それに伴い、事業主に対する従業員の労働時間の把握の責務について、明文化されました。
そして、具体的な取り組みについて、ガイドラインが策定されました。
今回のこのことについて取り上げます。

まず、労働時間とは・・・
使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間」をいいます。

つまり

必ずしも、労働契約や就業規則などに定められている時間ではなく、客観的に見て、使用者から労働者に義務付けられている行為かどうかで判断されます。

こんな場合は?・・・

仕事開始前に制服などに着替えたり、仕事が終わった後、掃除をしなくてはならない場合は?

それが使用者の指示によるものであれば、明示的・黙示的いずれであっても労働時間とみなされます。そのため、その時間を含めると法定時間を超えるという場合は、残業代を支払う義務が発生します。

待機時間は?

それが、使用者からの指示により即座に業務に従事しなければならないなら、労働時間とみなされます。(トラック運転手の荷下ろしや荷積みで待機する場合など)

本人の能力向上のための研修や教育訓練は?

参加することが義務付けられているならば、労働時間とみなされます。

使用者が講ずべき措置

使用者が講ずべき措置として、以下が示されています。

●使用者は労働者の労働日ごとの始業・就業時刻を確認し、適正に記録すること

  1. 原則的な方法
    • <使用者自ら現認し記録(つまり、使用者が始業終業を確認して記録すること
    • タイムカードなど、客観的な記録を基礎として確認・記録すること
  2. やむを得ず自己申告で労働時間を把握する場合
    1. 労働者、労働時間を管理する者に対して、ガイドラインに基づく措置等について十分な説明を行うこと。
    2. 自己申告による労働時間と、PCなどの使用時間から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合は、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
    3. 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならない。

●賃金台帳の適正な調整

使用者は労働者ごとに、労働日数、労働時間数、休日・時間外・深夜時間数といった事項を適正に記入しなければならない。


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