前号に引き続き、なぜ「未婚化」、「晩婚化」、「晩産化」が進んできたのかについて明治大学の安蔵教授の話をご紹介します。
教授は「未婚化」「晩婚化」の進行には家族構成の変化があると指摘しています。
高度経済成長時代、父が主たる働き手で母は専業主婦、子供は二人という、いわゆる「標準世帯」が家族の一般的な形態として定着しましたが、1973年のオイルショックを契機に「重厚長大」型の産業から「サービス型」の産業に産業構造が移行、その変化は家族の在り方にも影響をもたらし、パートタイム就業などで母親がサービス産業の労働市場に参入したことで、かつての「標準世帯」は減少し、加えて女性の高学歴化、男女雇用均等法により就業機会の拡大し、女性の経済的自立が可能となりました。更に、バブル経済による大量採用や大幅な賃金上昇は未婚化、晩婚化の進行に拍車をかけました。
また、子供は二人までという状況は、戦前のような家庭内人口圧力もないため、成人後も父親の経済的環境の中で生活し、母親からの家庭サービスを享受し続けていくことが、男女ともに可能となっています。
2000年の国勢調査によると、20歳~39歳の未婚男性の62.5%が、未婚女性71.7%が親と同居しており、結婚を躊躇させ未婚化が進行することになっています。
安蔵教授は、『本当に必要な少子化対策とは、すでに結婚し子どもを持っている人たちに対する「育児支援」や「待機児童問題」「子ども手当の増額」などの次世代育成支援ではなく、再生産年齢の未婚男女が結婚し家族形成しやすくなる環境の整備にある』と述べています。
なるほど・・・と思いませんか?
内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)通称、少子化対策担当大臣には、どんな人が就任してきたのか、気になったので調べてみました。
初代の任命が2007年8月なので今年で約7年間なのですが、在任1年以上は先日の内閣改造まで担当していた安部内閣の『森雅子大臣』ただお一人で在任期間は1年8カ月と少々。
これに次ぐ在任期間の長い方は、麻生内閣の小渕優子大臣でほぼ1年(11カ月と24日)、同じく自民党の上川陽子大臣(初めての少子化担当大臣、任命者は安部総理…第1次安部内閣)で11カ月と7日、これに対して民主党政権時代は約3年間に9人の大臣が入れ替わりで就任、最長でも8カ月の在任期間でした。長く勤めていればよいというわけではありませんが、少子化問題を解決するために、3~4か月大臣になったからって顕著な成果があげられるわけがないと思います。民主党はやる気はあったのでしょうか。
アベノミクスで名前を売った安部総理ですが、初代の上川大臣を任命し、また森雅子少子化担当大臣を2年近く担当させたというのは、立派だと思います。
さて、少子化、出生率の低下の真の原因は何なのか。
明治大学の安蔵教授は『少子化の原因は未婚化、晩婚化、晩産化にあり』と提言されています。
既婚女性の産む子供の数が少ないのではないという話は大変興味深いので、次回はその内容を紹介します。